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そしてデジャヴ。心から面倒くさいと思った。


刺々森は、ただ何も言わずこちらを睨みつけ打ち震えている少年の眼を見ないようにしながら、煙草を一吹きした。相変らずその金髪の少年は、恨みがましいような、耐え切れないような表情を彼に向けている。逃げたい。正直そう思った。どうでもいいことじゃん。そんなに気にするようなことかよ。口に出してしまえばまた繰り返しだ。排出されない思いはもやもやとしたものに代わって腹の中で渦巻いている。気持ち悪い。すこしでもその思いが灰となってしまえばいいと思ってまた煙草を吸う。こいつは、まるで駄目だ。どこで感じたか分からないデジャヴに舌打ちしたくなる。

「…なんで、おまえは…」

ようやくの事で搾り出したらしいその少年の声は、酷く震えていた。情けなく歪められた傷口がさらに彼を惨めにするのだろう。顔を見てしまったらこちらまで泣き出しそうだ。視線を逸らすと、見下げるようにしている彼が、ただ一言、おまえ、と言った。ああそうだ、あの時、あの人も、同じことを言った。
そう思うとどうしようもなくなってきた。俺はあの人が愛しくて、恐ろしくて、欲しくて、堪らなかった。鮮やかな感情は胸のあたりまでせり上がってくる。まるで内臓が圧迫されている感覚。今すぐ吐き出さなければ、死んでしまう。

「繰り返す事しか、知らないんだよ…!」

俯きがちに愚を吐き出すと、別なものまで溢れた気がした。貫木は何も言わない。きっと泣きそうな顔をしている。ああ、そうだ、きっと、こいつは。刺々森。あいつが俺の名を呼ぶ。あの時と同じだ。手は伸ばさないでくれ、頼むから。どろどろとした感情がまた湧きあがってくる。その痛みに、苦しさに、刺々森は目を閉じた。ああ、泣いているのは俺のほうだ。


お前だって、あの人だって同じだ。繰り返す事しか知らない。ただ、愚かな程に同じところをぐるぐる巡るのだ。抜け出せないのは業だろうか。くるしいよ、とうじょうさん。俺が泣きながら呟いたかもしれない言葉を、あいつは聞いたのだろうか。



     執着リフレイン
061107 (このよにおろかなにんげんなど、ただのひとりだっていやしないんだ)